草木パワー発信のアイデアマン

こだわりの草木染ファブリック鈴忠(浜松市東区大島町)

鈴木忠和さん


◆優しい風合いの草木染

 はままつシャツの月2ショップを開催する際にも会場として工房を使わせてくださるのがこの方、草木染職人の鈴木忠和さんです。お似合いの作務衣とハンチング帽ももちろんご本人の草木染めです。なんとも心地よいやわらかな風合いを感じさせてくれます。

 そして工房内に入ると「はままつ出世凧」と書かれた凧が目に留まりました。よく見ると、三つ葉の葵御紋とカツオが織りこまれた布が草木染めされているではありませんか。「これは『浜松は出世城なり初松魚(はつがつお)』という松島十湖の俳句にちなんで作ったオリジナルの生地。浜松城をデザインした布もあるので、浜松まつりのミニチュア出世凧を作りたいと思っているんですよ」とイメージができ上がっているようです。

 


◆元織屋さんが染め職人へ

  草木染め職人として活躍する鈴木さんですが、実はもともとは織屋さん。独学で機織り技術を学び、昭和45年に織機を導入して創業。以来奥様と二人三脚でオリジナルの生地を織り続けてきました。「常に他では織ることのできない新しい生地を作ることを目指してきた」という鈴木さん。190㎝の幅広い生地も手掛ける数少ない織屋さんだったそうです。

 ところが70歳を前に体調を崩し、長年続けてきた織屋仕事を断念。しかし「これまでに織り上げた布はたくさんあるのだから、その布を草木染めしてみよう」と第二の打ち込める人生をスタートさせたのです。書籍で草木染の基本を調べ、先人に技術を学び、あとは実地経験の繰り返し。機織で鍛えた繊細な職人感覚でどんどん技術を身に付け、さらに磨きをかけていきました。

 

カツオや浜松城が織り込まれた生地を草木染した布で作ったオリジナル凧
カツオや浜松城が織り込まれた生地を草木染した布で作ったオリジナル凧

◆付加価値をプラスした作品づくり

  すると草木染めにも新たな発想がひらめきます。「そうだ、由緒ある神社仏閣の草木をいただき、それらを染料にして作ってみよう」。すぐさま浜松ゆかりの湖北五山それぞれのご住職の元へ何度も通って気持ちを伝えました。そして全ての寺から快諾をいただき「湖北五山染」(龍潭寺のサツキ・方広寺のスギ・摩訶耶寺のフジ・大福寺のイチョウ・宝林寺のタケ)の「湖北五山染」が誕生しました。他にも浜松城のサクラや小国神社の紅葉染めも大変好評です。

 

 

ゆかりある草木を使い、ストーリー性がプラスされた作品が人気
ゆかりある草木を使い、ストーリー性がプラスされた作品が人気

◆自然パワーから生まれる発想

 ストール、帽子、バッグ、ハンカチ…、鈴木さんのオリジナル作品は実に多種多様。「扱うのは自然そのもの。だから天候や草木の色づきなどによって色の出方はさまざま。どのように染まるかの妙味にいつもわくわくしています」。すっかり第二の職人魂に火が点いた鈴木さん。「草木からいただく自然パワーで、また新たな発想にチャレンジしたい」と目を輝かせてお話くださいました。

 

オリジナル作品はバッグやストールなど多種多様
オリジナル作品はバッグやストールなど多種多様

【DATA】・・・・・・・・・

ファブリック鈴忠

浜松市東区大島町634

天然染色工房